国内における海洋深層水の陸上取水施設は、2006年4月現在、沖縄県久米(くめ)島、高知県室戸市室戸岬町三津と高岡、富山県滑川(なめりかわ)市に2か所と入善(にゅうぜん)町、静岡県焼津(やいづ)市、神奈川県三浦市、東京都大島町、新潟県佐渡(さど)市、北海道の八雲(やくも)町(旧熊石(くまいし)町)、岩内(いわない)町、羅臼(らうす)町(知円別(ちえんべつ)漁港沖)、鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市(旧下甑(しもこしき)村)に、それぞれあり、工事中のものが北海道羅臼町(羅臼漁港沖)、三重県尾鷲(おわせ)市にある。計画中のものは10か所以上に上る。
しかしながら、陸上で汲み上げる施設の取水量としては、沖縄県久米島の取水管2本で日量1万3000トンが最大で、その他の施設は日量4000トン以下となり、このような規模では海洋深層水の取水コストが高くなり、少量でも事業展開可能な清浄性資源が中心にならざるをえない。
洋上で汲み上げるものでは、2003年夏から相模(さがみ)湾の中央部分に海洋肥沃化装置「拓海(たくみ)」が設置され、1日に10万トンの海洋深層水を水深200メートルから汲み上げ、表層水20万トンと混合し水深20メートルから海に放水して、海洋深層水の含む栄養性で海の生物生産を高める実験が行われている。
海洋深層水とは、太陽の光が届かない(無光層)、水深200m以深の海水の総称で、光が届かないため植物プランクトンの光合成ができず、窒素などの栄養塩類が豊富に含まれています。
また、深海のため水温が低く(水温躍層)、細菌も非常に少ないきれいな海水です。
海洋深層水は、約2000年の時をかけて地球の深海を循環し熟成され、多くのミネラル成分を含んでいます。
久米島の海洋深層水は、水深612mと日本一深いところから汲み上げており、飲料用のほか多目的の利用・研究開発が行われています。
海洋深層水の富栄養性は、植物プランクトンや海藻を培養・栽培して水産物の飼料にしたり有用物質の抽出に利用されている。
いずれも1970年代初めごろから検討され、ハワイでは特定の植物プランクトンを培養して健康食品としたり、色素類を抽出して健康維持剤や医薬品に利用する事業が大きく成長した。
サラダ用の海藻類の培養、特定の海藻類を培養して高純度寒天を抽出する事業にも利用されている。
また、ハワイでは、低温エネルギーと清浄性を合わせて利用して各種の水産物の養殖や種苗生産にも役だてている。
海洋深層水の低温エネルギー(水の冷たさ)は、建物の冷房に実利用されている。
1974年ハワイでは海洋深層水の資源利用研究のために州立自然エネルギー研究所の設立が決定され、1980年に世界最初の陸上研究施設(ハワイ深層水研究所)、1985年に産業団地を整備し、そこでは水深600メートルからくみ上げた海洋深層水で建物を冷房している。
低温エネルギーは、すべて電気で冷房するのに比べ電気代が10分の1ですむ。ハワイの例にヒントを得て、2000年にはコーネル大学(アメリカ)のキャンパスの建物冷房が大学近くの淡水湖の深層水を利用して行われるようになった。
また、五大湖の一つオンタリオ湖の深層水を使った冷房や、海洋深層水による熱帯の島々の冷房などの計画も始まっている。
夏場の電気量の半分は冷房に使われているので、海洋深層水利用による冷房が拡大すれば、大幅な節電効果が期待される。
海洋深層水とは、深海すなわち陸棚外縁部より深いところ、およそ水深200~300メートル以深にある海水のことです。
海洋深層水の代表格は、北大西洋のグリーンランド沖合で冷やされた海水が深層へ潜り込み、南極を回って北上するものが有名です。
太平洋で表層へ出た流れが、インド洋、大西洋へと流れていき、北大西洋にもどってまた潜り込む、という大循環が海洋では起きているといわれています。
これは片道2000年の旅といわれていますが、この海洋深層水を恒常的に汲み上げている施設はありません。
室戸海洋深層水は、この大循環とは別の流れで、太平洋の北部(オホーツク、アラスカ付近)から深層へ潜り込み、北太平洋の中層(水深約1000メートル)を時計回りにまわり、東経120度、北緯20度付近から日本へ向かって北上する「北太平洋中層水」と呼ばれる海水が起源であると考えられています。
室戸海洋深層水の研究は、1985年に科学技術庁(現文部科学省)のアクアマリン計画「海洋深層水資源の有効利用技術に関する研究」のモデル海域に室戸岬海域が指定されたことから始まりました。